いつだったか、BBCラジオ放送で「日本そばの正しい食し方」という番組があった。 
      
      家事をしながら何気なくラジオのスイッチを入れたら、「ズルズル!ズルー!」となにやら騒々しい音がこれでもか、これでもかと畳み掛けるように聞こえてきた。「日本そばはこのように音を盛大に立てて食べるのが正しいのです」とナレーション。 
       
      
      スパゲッティは音を立ててはいけない。それは私たち日本人はみんな知っている。日本そば式麺類の食べ方に慣れているのに、無理して音を立てずに静かに食べる努力をする。その反対に、スパゲッティ式食べ方しか出来ない人に、日本そばを音を立てて食べなさいというのは、これもなかなか努力の要るものらしい。 
       
      
      こういった、食事の作法にも文化的な違いがあるのだとヨーロッパの人たちが認識してくれたら、私たちはお茶を飲むときも日本そば同様、堂々とすすって飲めばよいのかも知れない。 
       
      
      だが、それはあくまで日本茶の場合であって、コーヒーや紅茶を飲むときは静かに飲んで欲しい。 
      
      ところが気をつけて見ると、普段コーヒーを静かに飲む日本人は以外と少ない。特に年輩の男性はほとんどの人がコーヒーをすすって飲む。 
       
      
      せっかく、素敵にテーブルセッティングをして、とっておきのコーヒーカップに挽きたてのコーヒーを注いでみても、ズルズルっと音が聞こえたら、なんだかとても興ざめしてしまう。 
       
       
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